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【LIBRARY】『ひと アート まち』 2008年新年号

ひと アート まち  

【2008年新年号】

空白の放課後はどこに


 近頃、親や先生からテーマや画材の指示や、お手本がないと絵が描けないという子どもが増えているらしい。
 たしかに、小学校の展覧会などで絵を見ていると、クラスによって画風が似たものばかりで、大人に褒めてもらいたくてがんばって描いている子どもの姿が目に浮かんできて、何だか悲しくなってくる。
 子どもたちにとって絵を描くということは、どうしても伝えたいという想いの自由で自然な現れだし、悔しさや悲しさや不安といった心の中のモヤモヤを外に吐き出してしまえる大切な時間だったはずなのに。 
 「画用紙からはみだしてはいけませんよ」「夕焼け色したピンクの雲なんてどこにもありません」「マンガばかり描いてないで勉強しなさい」。ああしなさい、こうしなさい、私の言う通りの「いい子」になりなさい、って。
 「下手こいた〜」って逃げ出して、「でも、そんなの関係ねえ!」って大声でいちばん叫びたいのは子どもたちなのかも知れない。
 また最近、街の中から子どもたちの居場所がなくなったとよく聞く。しかし、なくなったのは、我を忘れていつまでも遊んだり絵を描いていたあの「時間」なのかも知れない。先日、夜の9時過ぎにコンビニで塾帰りの知り合いの小学生に会った。月曜は習字、火曜は英会話、水曜は水泳、木曜は塾、金曜は体操教室で忙しいと疲れた顔で言った。「忙しい」という字は「心を亡くす」って書く。心を作る一番大切な時代に、忙しいのは大人になってからで十分なのに。
 そう言えば、ブロック塀やアスファルトの駐車場いっぱいにろうせきやチョークで描かれた子どもたちの王国を最後に見たのはいつのことだったか。
 人間はいつどんな時でも、表現をしてきた生き物である。それはこの世界にあることの証なのだろう。今、子どもたちに必要なのは空白の放課後と何本かのろうせき。そして、大人たちが「おとな」を捨ててみることなのだろうと思う。
 新年最初の「トヨタ・子どもとアーティストの出会い」は、1月22日から3日間。前橋の一番北にある市立滝窪小学校・金丸分校で、世界的な絵本作家の荒井良二さんが全校29人の子どもたちと「子ども力」を爆発させる。先生、お父さん、お母さん。覚悟は決まりましたか。

 

(掲載;朝日新聞 群馬版 2008年1月11日)
営業時間:11時から20時
定休日:毎週火曜日
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