【LIBRARY】『ひと アート まち』 2008年2月号
ひと アート まち
【2008年2月号】
夢の叶えられる場所
英米の大学による最新の調査結果によると、日本人が人生の中で最も幸福度が低いと感じてしまうのは49.8歳らしい。
生物学的にはその歳で急に衰えてしまう根拠はどこにもなく、「明確な理由は解らない」としながらも「自分の強さと弱さを学び、実現不可能な夢を諦めてしまう時代」なのだという。
近づく50という音の響きが人をうろたえさせ自暴自棄にでもさせてしまうのか、殺人容疑で検挙される年齢の1位もやはり49歳の男性らしい。
49歳になった自分も、最近「だって」という言い訳を用意して「ひょっとしたら」という可能性に気付かないふりをしていて驚いてしまうことがある。
歳をとるとは、もうあれも出来なくなった、これも出来なくなったと、思い知らされることがどんどん増えてゆくという経験である。でもまた同時に「まだあんなことも出来る。こんなことも出来る」と、「もう」を「まだ」と言いかえて、夢を鍛え直すことが出来る歳になったとも言えないだろうか。
自分にはまだ抱き続ける夢がある。未来が不透明だというのなら、せめてこうあるべきだという世界を子どもたちに見せてあげたい。こんな人間になったならどんなにか素晴らしいぞって、若いみんなに語りかけたい。この街をつくった自分の親の世代に彼らと共に若かったこの街を思い出して欲しい。そしてもっともっと大きな声で泣いたり笑ったりしてもらいたい。
そんな夢を叶えられる場所。「映画館」を街の中で始めてみようと思う。
2年程前からの前橋市への提案がこの程公募の審査を経て自分たちの団体へと決定した。前橋中心市街地、旧ウォーク館3階、テアトル西友跡。客席数Aスクリーン154席、Bスクリーン56席。総面積409.88平方メートル。
よりによってこんな時代に、スタッフを集めるのもこれからで、もちろん映画館の経営など全く初めてだけれども、とっても自信があるというのは一体何故なのだろう。
それはきっと、映画館と共にあった自分が子どもだったころのこの街と、そこに生きた父親をはじめたくさんの人々との記憶が、「ひとりじゃない」って精一杯応援してくれているからに違いない。
(掲載;朝日新聞 群馬版 2008年2月15日)
【2008年2月号】
夢の叶えられる場所
英米の大学による最新の調査結果によると、日本人が人生の中で最も幸福度が低いと感じてしまうのは49.8歳らしい。
生物学的にはその歳で急に衰えてしまう根拠はどこにもなく、「明確な理由は解らない」としながらも「自分の強さと弱さを学び、実現不可能な夢を諦めてしまう時代」なのだという。
近づく50という音の響きが人をうろたえさせ自暴自棄にでもさせてしまうのか、殺人容疑で検挙される年齢の1位もやはり49歳の男性らしい。
49歳になった自分も、最近「だって」という言い訳を用意して「ひょっとしたら」という可能性に気付かないふりをしていて驚いてしまうことがある。
歳をとるとは、もうあれも出来なくなった、これも出来なくなったと、思い知らされることがどんどん増えてゆくという経験である。でもまた同時に「まだあんなことも出来る。こんなことも出来る」と、「もう」を「まだ」と言いかえて、夢を鍛え直すことが出来る歳になったとも言えないだろうか。
自分にはまだ抱き続ける夢がある。未来が不透明だというのなら、せめてこうあるべきだという世界を子どもたちに見せてあげたい。こんな人間になったならどんなにか素晴らしいぞって、若いみんなに語りかけたい。この街をつくった自分の親の世代に彼らと共に若かったこの街を思い出して欲しい。そしてもっともっと大きな声で泣いたり笑ったりしてもらいたい。
そんな夢を叶えられる場所。「映画館」を街の中で始めてみようと思う。
2年程前からの前橋市への提案がこの程公募の審査を経て自分たちの団体へと決定した。前橋中心市街地、旧ウォーク館3階、テアトル西友跡。客席数Aスクリーン154席、Bスクリーン56席。総面積409.88平方メートル。
よりによってこんな時代に、スタッフを集めるのもこれからで、もちろん映画館の経営など全く初めてだけれども、とっても自信があるというのは一体何故なのだろう。
それはきっと、映画館と共にあった自分が子どもだったころのこの街と、そこに生きた父親をはじめたくさんの人々との記憶が、「ひとりじゃない」って精一杯応援してくれているからに違いない。
(掲載;朝日新聞 群馬版 2008年2月15日)

