【LIBRARY】『ひと アート まち』2009年1月号
ひと アート まち
【2009年1年号】
老いを笑い合うこと
最近テレビなどで「日本は世界の中では消費税が低いのだから、財源の確保のためにはヨーロッパ並みに」という話をよく聞くので、だったら高い国は一体それを何に使っているのかと調べてみた。
たとえばイギリスの消費税率は確かに日本の3倍以上の17.5%だ。しかし、食料品・住宅・水道・公共交通・新聞・書籍、なんと子ども服などが0%で、さらには、医療や社会福祉・教育・郵便なども非課税になるらしい(昨年の12月24日には景気対策として2.5%を一時的に引き下げている)。
また医療費や初等から大学までの教育費は無料。低所得や失業中の人には家賃の全額などが支給されたり、年金生活者は光熱費や交通費が無料で、さらには就職が決まるまで徹底的に面倒をみてくれる政策や、家族の介護を抱える人を支援する法の整備と、どんな人たちを護っていこうとしているのかの意志が明確で嬉しくなった。
こうした実態を無視して、税率だけで「まだ増税の余地がありそうだ」と実行したとしても、今を覆う老後への不安や子どもたちの教育費の心配などから解放されたりしないだろうなと思うのは自分だけだろうか。
100年に一度の経済危機だとメディアは煽ぎ立てるが、競争と対立の中で金銭的な利益と効率化だけを最善とする時代の戦略が、やっぱり破綻しただけだと見るべきで、これから100年後の子どもたちのために本当に求められているのは、景気回復などではなく、ひとりひとりが今までの価値を転換していくことだと思う。
そんな価値をまず0にリセットするには「笑い」が一番有効だという。こんな時だからこそ「たいしたことないじゃん」って、悲観的になってしまいそうなことも大笑いすることで、良いことといっしょにしてしまう。
「貧しさを笑い合う」「ちがいを笑い合う」「失敗を笑い合う」「弱さを笑い合う」「老いを笑い合う」...。
そう言えば、子どものころは本当によく笑った。笑い過ぎて息が出来なくて死んでしまうかと何度も思った。子どものころはきっとあの笑いで、どんなに嫌なことがあっても、価値を毎日0にリセットしていたのだろう。
今年最初の「トヨタ・子どもとアーティストの出会い」は、1月23日に大人気の絵本作家スズキコージさんと前橋市立城南小学校でお面を作るワークショップをする。出来上がったらお面をかぶって学校の周りを手づくりの楽器を打ち鳴らしながらパレードをする予定だ。きっと、学校中が無敵な笑顔で一杯になって、ひとりひとりがまだ知らない、自分と友だちの新しい価値と出会えることになると思う。
(掲載;朝日新聞 群馬版 2009年1月9日)
【2009年1年号】
老いを笑い合うこと
最近テレビなどで「日本は世界の中では消費税が低いのだから、財源の確保のためにはヨーロッパ並みに」という話をよく聞くので、だったら高い国は一体それを何に使っているのかと調べてみた。
たとえばイギリスの消費税率は確かに日本の3倍以上の17.5%だ。しかし、食料品・住宅・水道・公共交通・新聞・書籍、なんと子ども服などが0%で、さらには、医療や社会福祉・教育・郵便なども非課税になるらしい(昨年の12月24日には景気対策として2.5%を一時的に引き下げている)。
また医療費や初等から大学までの教育費は無料。低所得や失業中の人には家賃の全額などが支給されたり、年金生活者は光熱費や交通費が無料で、さらには就職が決まるまで徹底的に面倒をみてくれる政策や、家族の介護を抱える人を支援する法の整備と、どんな人たちを護っていこうとしているのかの意志が明確で嬉しくなった。
こうした実態を無視して、税率だけで「まだ増税の余地がありそうだ」と実行したとしても、今を覆う老後への不安や子どもたちの教育費の心配などから解放されたりしないだろうなと思うのは自分だけだろうか。
100年に一度の経済危機だとメディアは煽ぎ立てるが、競争と対立の中で金銭的な利益と効率化だけを最善とする時代の戦略が、やっぱり破綻しただけだと見るべきで、これから100年後の子どもたちのために本当に求められているのは、景気回復などではなく、ひとりひとりが今までの価値を転換していくことだと思う。
そんな価値をまず0にリセットするには「笑い」が一番有効だという。こんな時だからこそ「たいしたことないじゃん」って、悲観的になってしまいそうなことも大笑いすることで、良いことといっしょにしてしまう。
「貧しさを笑い合う」「ちがいを笑い合う」「失敗を笑い合う」「弱さを笑い合う」「老いを笑い合う」...。
そう言えば、子どものころは本当によく笑った。笑い過ぎて息が出来なくて死んでしまうかと何度も思った。子どものころはきっとあの笑いで、どんなに嫌なことがあっても、価値を毎日0にリセットしていたのだろう。
今年最初の「トヨタ・子どもとアーティストの出会い」は、1月23日に大人気の絵本作家スズキコージさんと前橋市立城南小学校でお面を作るワークショップをする。出来上がったらお面をかぶって学校の周りを手づくりの楽器を打ち鳴らしながらパレードをする予定だ。きっと、学校中が無敵な笑顔で一杯になって、ひとりひとりがまだ知らない、自分と友だちの新しい価値と出会えることになると思う。
(掲載;朝日新聞 群馬版 2009年1月9日)

