【CINEMA】『松風座』特集上映 ‖ 日本映画の終戦直後
松風座
記憶の向こう。
特集上映‖日本映画の終戦直後
1995年。市民から集められた5.000枚の古着を使って建設された仮設劇場から、「松風座」(デザイン;隈 研吾・日比野克彦)は始められました。
(本当のスタートは1985年、阪妻好きの老人の住む長屋の壁を使っての「雄呂血」の突然の上映でしたが)。
その後、橋梁・高層ビルの壁面・橋の上・廃墟のデパート・プラットフォーム・校庭・アーケード下・立体駐車場屋上・スーパー跡・お寺の講堂等場所を変えながら数々の名画を上映してきました。
今回は、この秋「名画座」として再生する「旧テアトル西友」を使っての最後の上映会となります。
特集は「日本映画の終戦直後」。
二本立てでの上映となります。
日本人がみんな持っていた、ささやかですが切実な未来への想いに、出会いに来てください。
期 日‖8月7日[金]・8日[土]・9日[日]
会 場‖旧テアトル西友
旧ウォーク館3F 前橋市千代田町5-1-16
入場料‖各プログラム 1,000円[2本立て]
定員制・先着順 開場は各回上映の30分前

8月7日[金]‖プログラム A
18:00-19:30 「蜂の巣の子供たち」
19:45-21:25 「戦争と平和」
8月8日[土]‖プログラム B
13:00-14:50 「帰郷」
15:05-16:30 「蜂の巣の子供たち」
8月8日[土]‖プログラム C
17:00-18:30 「安城家の舞踏会」
18:45-20:30 「帰郷」
8月9日[日]‖プログラム D
14:00-15:30 「安城家の舞踏会」
15:45-17:25 「戦争と平和」
お申込み・問合せ‖
前橋市役所文化国際 tel.027(898)6522
前橋芸術週間 http://f-ritz.net
主催‖前橋市 / 前橋芸術週間 / 前橋フィルム・コミッション / 文化庁 / 東京国立近代美術館フィルムセンター
協力‖コミュニティシネマ支援センター
【平成21年度優秀映画鑑賞推進事業】
作‖品‖紹‖介
蜂の巣の子供たち

1948年‖蜂の巣映画部‖白黒‖スタンダード‖84分
脚本・監督・製作‖清水 宏
製作同人‖山本茂樹/関沢新一/林文三郎 撮影‖古山三郎
録音‖杉山政明/金谷常三郎 音楽‖伊藤宣二
出演者‖島村俊作/夏木雅子/御庄正一/伊本紀洋史/多島元/久保田晋一郎/岩本豊/千葉義勝
清水宏監督は、自意識過剰なスター俳優を使ってメロドラマを撮っているよりは、子供や風景を自然のままに写しているほうがましだと考えていた。そんなこと もあって、戦後、戦災孤児を引き取って自宅で面倒をみていたが、彼らを登場人物に何か作ろうと思いたち、蜂の巣プロを起こして、この作品を製作した。ひと りの復員兵が下関に降りたつ。帰る場所のない彼は、自分が育った非行少年の厚生施設「みかへりの塔」へ帰ろうと、広島、神戸と山陽道を歩いて行く。戦禍の 後も生々しい街角や路上で、浮浪児たちや若い娘の引揚者、孤児を束ねている乱暴な男などと出会い、さらに旅を続けていく。全篇ロケーション撮影、俳優たち もすべて素人といった素朴さのうちに、朴訥としたこの監督特有の味わいと時代を見つめる目がある。
戦争と平和

1947年‖東宝‖白黒‖スタンダード‖100分
脚本‖八住利雄 監督‖山本薩夫/亀井文夫
製作‖伊藤武郎 撮影‖宮島義勇 照明‖若月荒夫
録音‖空閑昌敏 音楽‖飯田信夫 美術‖河東安英
出演者‖池部 良/岸 旗江/伊豆 肇/大久保翼/大久保進/菅井一郎/島田敬一/藤間房子/谷間小百合/三谷幸子/田中筆子/北川耕三/高野千代/飯野公子
新憲法発布を記念して、憲法普及会が映画各社に提案した企画のうち、「戦争放棄」の題材を当たられた東宝が、伊藤武夫プロデュースのもと、記録映画作家の 亀井文夫と劇映画監督の山本薩夫の共同監督により製作した、終戦直後の日本映画を代表する一本。戦死公報を受けた妻・町子が、前線で精神的な障害を受け帰 還していた、夫の親友・康吉と再婚する。しかし、度重なる空襲により、康吉の病状は悪化。そこに中国で捕虜として命拾いをした夫・健一が帰還し、三人の間 に新たな悲劇が襲う。D・W・グリフィスの映画『イノック・アーデン』を下敷きに、ニヒリズムと解放感の錯綜した戦後心理を捉えた八住利雄の脚本、トラウ マを抱えた難しい役どころに挑んだ池部良の熱演、記録映画のフッテージを盛り込みながら、戦地、銃後そして戦後の日本の姿をリアルに再現した映像など、見 応えのある大作となっている。占領軍による検閲により30分以上が削除されたものの、観客・批評家からの評価は高く、『キネマ旬報』ベストテンで第2位に 選ばれた。
帰郷

1950年‖松竹[大船]‖白黒‖スタンダード‖104分
原作‖大佛次郎 脚本‖池田忠雄 監督‖大庭秀雄
製作‖小出 孝 撮影‖生方敏夫 照明‖田村晃雄
録音‖妹尾芳三郎 音楽‖吉沢博/黛敏郎 美術‖浜田辰雄
出演者‖木暮実千代/佐分利信/津島恵子/三宅邦子/山村 聡/柳永二郎/徳大寺伸/三井弘次/日守新一/高橋貞二/市川笑猿/坪内美子
原作は、大佛次郎が毎日新聞に連載した長篇小説である。海外を放浪し、無国籍者となっていた元海軍軍人が戦後日本に帰国し、かつて自分を窮地に陥れた愛人 や、音信を絶っていた娘に会うが、すっかり様がわりしている日本に失望して、再び去っていく。混乱した復興期の世相を背景に、上質の情感をたたえた作品に なっている。同年の『長崎の鐘』や、『君の名は』三部作(1953-54)の大ヒットにより、松竹のエース監督となった大庭秀雄は、同社伝統のメロドラマ の作法を十二分に体得した作家であり、心理描写などにたしかな手腕を示した。特に京都の苔寺(西芳寺)の場面は流麗といえるだろう。
安城家の舞踏会

1947年‖松竹[大船]‖白黒‖スタンダード‖89分
脚本‖新藤兼人 原作・監督‖吉村公三郎
製作‖小倉武志 撮影‖生方敏夫 照明‖加藤政雄
録音‖妹尾芳三郎 音楽‖木下忠司 美術‖浜田辰雄
出演者‖原 節子/逢初夢子/滝沢 修/森 雅之/清水将夫/神田 隆/空あけみ/村田知栄子/殿山泰司/津島恵子/岡村文子/日守新一
今や家屋敷を人手に渡すところまで落ちぶれた旧華族の名門、安城家。せめて終焉だけは華やかに迎えようと舞踏会が催されたが、そこに闇金融の社長や、かつ て当家のお抱え運転手だった成金の運送業者らが現われ、当主の苦悩は極限に達することとなる...。旧体制の崩壊と新興勢力の台頭という、敗戦後の日本の 世相を巧みに織り込んだ作品だが、滅び行く華族とその周辺の人々という人物設定には、たしかにチェーホフの「桜の園」を思わせるところがある。もっとも監 督の吉村公三郎によれば、実際にこれに類したダンスパーティーが開かれたことがあり、そこから作品のアイデアを得たということらしい。脚本の新藤兼人は修 業時代、溝口健二の下で「近代劇全集」と格闘した経験があり、この堅牢に組み立てられたドラマにもその成果の一端がうかがわれる。
記憶の向こう。
特集上映‖日本映画の終戦直後
1995年。市民から集められた5.000枚の古着を使って建設された仮設劇場から、「松風座」(デザイン;隈 研吾・日比野克彦)は始められました。
(本当のスタートは1985年、阪妻好きの老人の住む長屋の壁を使っての「雄呂血」の突然の上映でしたが)。
その後、橋梁・高層ビルの壁面・橋の上・廃墟のデパート・プラットフォーム・校庭・アーケード下・立体駐車場屋上・スーパー跡・お寺の講堂等場所を変えながら数々の名画を上映してきました。
今回は、この秋「名画座」として再生する「旧テアトル西友」を使っての最後の上映会となります。
特集は「日本映画の終戦直後」。
二本立てでの上映となります。
日本人がみんな持っていた、ささやかですが切実な未来への想いに、出会いに来てください。
期 日‖8月7日[金]・8日[土]・9日[日]
会 場‖旧テアトル西友
旧ウォーク館3F 前橋市千代田町5-1-16
入場料‖各プログラム 1,000円[2本立て]
定員制・先着順 開場は各回上映の30分前

8月7日[金]‖プログラム A
18:00-19:30 「蜂の巣の子供たち」
19:45-21:25 「戦争と平和」
8月8日[土]‖プログラム B
13:00-14:50 「帰郷」
15:05-16:30 「蜂の巣の子供たち」
8月8日[土]‖プログラム C
17:00-18:30 「安城家の舞踏会」
18:45-20:30 「帰郷」
8月9日[日]‖プログラム D
14:00-15:30 「安城家の舞踏会」
15:45-17:25 「戦争と平和」
お申込み・問合せ‖
前橋市役所文化国際 tel.027(898)6522
前橋芸術週間 http://f-ritz.net
主催‖前橋市 / 前橋芸術週間 / 前橋フィルム・コミッション / 文化庁 / 東京国立近代美術館フィルムセンター
協力‖コミュニティシネマ支援センター
【平成21年度優秀映画鑑賞推進事業】
作‖品‖紹‖介
蜂の巣の子供たち

1948年‖蜂の巣映画部‖白黒‖スタンダード‖84分
脚本・監督・製作‖清水 宏
製作同人‖山本茂樹/関沢新一/林文三郎 撮影‖古山三郎
録音‖杉山政明/金谷常三郎 音楽‖伊藤宣二
出演者‖島村俊作/夏木雅子/御庄正一/伊本紀洋史/多島元/久保田晋一郎/岩本豊/千葉義勝
清水宏監督は、自意識過剰なスター俳優を使ってメロドラマを撮っているよりは、子供や風景を自然のままに写しているほうがましだと考えていた。そんなこと もあって、戦後、戦災孤児を引き取って自宅で面倒をみていたが、彼らを登場人物に何か作ろうと思いたち、蜂の巣プロを起こして、この作品を製作した。ひと りの復員兵が下関に降りたつ。帰る場所のない彼は、自分が育った非行少年の厚生施設「みかへりの塔」へ帰ろうと、広島、神戸と山陽道を歩いて行く。戦禍の 後も生々しい街角や路上で、浮浪児たちや若い娘の引揚者、孤児を束ねている乱暴な男などと出会い、さらに旅を続けていく。全篇ロケーション撮影、俳優たち もすべて素人といった素朴さのうちに、朴訥としたこの監督特有の味わいと時代を見つめる目がある。
戦争と平和

1947年‖東宝‖白黒‖スタンダード‖100分
脚本‖八住利雄 監督‖山本薩夫/亀井文夫
製作‖伊藤武郎 撮影‖宮島義勇 照明‖若月荒夫
録音‖空閑昌敏 音楽‖飯田信夫 美術‖河東安英
出演者‖池部 良/岸 旗江/伊豆 肇/大久保翼/大久保進/菅井一郎/島田敬一/藤間房子/谷間小百合/三谷幸子/田中筆子/北川耕三/高野千代/飯野公子
新憲法発布を記念して、憲法普及会が映画各社に提案した企画のうち、「戦争放棄」の題材を当たられた東宝が、伊藤武夫プロデュースのもと、記録映画作家の 亀井文夫と劇映画監督の山本薩夫の共同監督により製作した、終戦直後の日本映画を代表する一本。戦死公報を受けた妻・町子が、前線で精神的な障害を受け帰 還していた、夫の親友・康吉と再婚する。しかし、度重なる空襲により、康吉の病状は悪化。そこに中国で捕虜として命拾いをした夫・健一が帰還し、三人の間 に新たな悲劇が襲う。D・W・グリフィスの映画『イノック・アーデン』を下敷きに、ニヒリズムと解放感の錯綜した戦後心理を捉えた八住利雄の脚本、トラウ マを抱えた難しい役どころに挑んだ池部良の熱演、記録映画のフッテージを盛り込みながら、戦地、銃後そして戦後の日本の姿をリアルに再現した映像など、見 応えのある大作となっている。占領軍による検閲により30分以上が削除されたものの、観客・批評家からの評価は高く、『キネマ旬報』ベストテンで第2位に 選ばれた。
帰郷

1950年‖松竹[大船]‖白黒‖スタンダード‖104分
原作‖大佛次郎 脚本‖池田忠雄 監督‖大庭秀雄
製作‖小出 孝 撮影‖生方敏夫 照明‖田村晃雄
録音‖妹尾芳三郎 音楽‖吉沢博/黛敏郎 美術‖浜田辰雄
出演者‖木暮実千代/佐分利信/津島恵子/三宅邦子/山村 聡/柳永二郎/徳大寺伸/三井弘次/日守新一/高橋貞二/市川笑猿/坪内美子
原作は、大佛次郎が毎日新聞に連載した長篇小説である。海外を放浪し、無国籍者となっていた元海軍軍人が戦後日本に帰国し、かつて自分を窮地に陥れた愛人 や、音信を絶っていた娘に会うが、すっかり様がわりしている日本に失望して、再び去っていく。混乱した復興期の世相を背景に、上質の情感をたたえた作品に なっている。同年の『長崎の鐘』や、『君の名は』三部作(1953-54)の大ヒットにより、松竹のエース監督となった大庭秀雄は、同社伝統のメロドラマ の作法を十二分に体得した作家であり、心理描写などにたしかな手腕を示した。特に京都の苔寺(西芳寺)の場面は流麗といえるだろう。
安城家の舞踏会

1947年‖松竹[大船]‖白黒‖スタンダード‖89分
脚本‖新藤兼人 原作・監督‖吉村公三郎
製作‖小倉武志 撮影‖生方敏夫 照明‖加藤政雄
録音‖妹尾芳三郎 音楽‖木下忠司 美術‖浜田辰雄
出演者‖原 節子/逢初夢子/滝沢 修/森 雅之/清水将夫/神田 隆/空あけみ/村田知栄子/殿山泰司/津島恵子/岡村文子/日守新一
今や家屋敷を人手に渡すところまで落ちぶれた旧華族の名門、安城家。せめて終焉だけは華やかに迎えようと舞踏会が催されたが、そこに闇金融の社長や、かつ て当家のお抱え運転手だった成金の運送業者らが現われ、当主の苦悩は極限に達することとなる...。旧体制の崩壊と新興勢力の台頭という、敗戦後の日本の 世相を巧みに織り込んだ作品だが、滅び行く華族とその周辺の人々という人物設定には、たしかにチェーホフの「桜の園」を思わせるところがある。もっとも監 督の吉村公三郎によれば、実際にこれに類したダンスパーティーが開かれたことがあり、そこから作品のアイデアを得たということらしい。脚本の新藤兼人は修 業時代、溝口健二の下で「近代劇全集」と格闘した経験があり、この堅牢に組み立てられたドラマにもその成果の一端がうかがわれる。

