基礎知識

ファクタリングは違法?違法性や法的根拠・給与ファクタリングの注意点

ファクタリングは違法?



新しい資金調達の方法として拡大しているファクタリングですが、法的根拠についてご存知ないと言う方も多いのではないでしょうか。

根拠やどのような行為が違法となるか知っておくことで、違法な営業を行う悪徳ファクタリング業者を見極めることも可能です。

当記事ではファクタリングの仕組みや法的根拠や違法となるケースについて解説いていきます。

ファクタリングの利用が初めてで用語や仕組みがわからない方は、まずは以下の記事からご覧ください。
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ファクタリングを初めて利用する方へ

3社間ファクタリングの法的根拠

3社間アニメーション2

※取引手順どおりに画像が動きます

まずは3社間ファクタリングの法的根拠について確認していきましょう。

3社間ファクタリングとはファクタリングを利用する会社と取引先、ファクタリング会社の3社間で行うファクタリングです。

取引の内容はファクタリングを利用する会社がファクタリング会社に売掛債権を譲渡します。その際、取引先の会社も売掛債権がファクタリング会社に譲渡されることを同意するというものです。3社間ファクタリングは民法466条を根拠としています。

民法466条には「債権は譲り渡すことができる」と明文化されており、ファクタリングはこの条文にのっとって債権の譲渡という形で、取引が行われます。

3社間ファクタリングでは当事者の3社間で合意のうえ、合法的に資金調達ができますので、トラブルになることは少ないと考えてよいでしょう。

ただし、資金繰りが厳しいということを取引先に知られてしまうことになりますので、ファクタリングを利用することを取引先に知られたくないという企業も多くあります。

そこで、取引先の同意を得ずに資金調達を完結するのが2社間ファクタリングです。

次に2社間ファクタリングについて見て行きましょう。

2社間ファクタリングの法的根拠

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※取引手順どおりに画像が動きます

次に2社間ファクタリングの法的根拠について確認していきます。

一般的なファクタリングでは3社間ファクタリングが利用されていますが、ファクタリングを利用する会社とファクタリング会社の2社間で契約が行われる場合もあります。

2社間ファクタリングは取引先企業の合意を得ずに行うため、取引先にファクタリングを利用していることを知られることはありません。

2社間ファクタリングでは、契約が成立した時点でファクタリングを利用する会社に、ファクタリング会社から現金が支払われます。

取引先はファクタリング契約が行われることを知りませんので、ファクタリングを利用した会社に通常通り売掛金を支払います。支払われた売掛金は一旦、ファクタリングを利用した会社の入金された後、ファクタリング業者に支払うこととなります。

2社間ファクタリングは契約の性質上、貸し倒れリスクが高くなります。その理由は一旦、ファクタリングを利用する会社に入金されるため、請求が厳しい支払いに使ってしまったり、入金があった直後に倒産して、払えなくなったりすることもありえるからです。

リスクが高いため、2社間ファクタリングは手数料も高く設定されています。

ファクタリングを利用する会社にとっては、取引先に知られないというメリットがある一方で、手数料が高くなるということは覚えておいた方がよいでしょう。

2社間ファクタリングは債権譲渡を登記できるようになったことにより始まりました。

登記とは不動産等を保有している際に、自分が保有しているということを第三者に対抗できるものです。債権を譲渡したことを登記したことによって、万が一ファクタリングを利用する会社が売掛債権を回収する前に倒産してしまったとしても取引先の会社に登記をもって回収が可能です。

2社間ファクタリングの法的根拠は、民法555条の「売買契約」で定められています。

売買契約は「財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、契約を生ずる」と記載されています。

つまり、ファクタリングを利用する会社が売掛債権をファクタリング会社に支払うことを約し、ファクタリング会社が代金を支払うことを合意した時点で取引が成立し、売掛債権はファクタリング会社に移るということになります。

利息制限法とは

ファクタリングの法的根拠を理解するうえで、必ず理解しておきたいのが「利息制限法」という法律です。

利息制限法について解説します。

利息制限法とはいわゆる闇金を取り締まる法律です。借金を背負った債務者を必要以上に苦しめないように、利息の上限等が利息制限法によって定められています。

金銭の貸し付けを行う金融業者は、貸金業の登録をおこなって金融庁の監督のもとに置かれることになります。

結論から言うとファクタリングは利息制限法の制限を受けることはありません。その理由はファクタリングが貸金とは異なる業務であるからです。

そのため、ファクタリング会社は貸金業の登録を行う必要はありません。

ファクタリングが違法となるケース

ファクタリングでは違法となってしまうケースもあります。

ファクタリングで違法になるケースについて見て行きましょう。

(1)実質的に高利貸しとなっている

実質的に高利貸しとなっているファクタリングは違法とみなされます。

先ほどご説明したような、償還請求権を付すようなファクタリング契約は実質的に貸し付けとなってしまいます。このような契約で利息制限法を上回る手数料を受け取っていた場合、偽装ファクタリングとして違法となる可能性があります。

ファクタリングでは、実質的な高利貸しとならないように注意する必要があります。

(2)売掛金の返済が分割払いとなっている

ファクタリングではファクタリング会社からファクタリングを利用した会社に支払う現金は一括払いが原則です。

もし分割払いをした場合には、実質的に貸し付けとみなされるため、違法となる可能性があります。

(3)ファクタリング会社が回収のリスクを負わない

ファクタリングは資金調達を目的とするため、貸金と似た性質を持っています。

実際に金融庁の監督を受けないためにファクタリングを装って貸金業を行う偽装ファクタリングという手法も存在します。ファクタリングか貸金業かを判断する違いは「償還請求権」の有無によっても異なります。

償還請求権とは取引先企業が万が一倒産してしまった場合、売掛債権の返還をファクタリングの利用をした企業に求める権利です。

通常のファクタリングでは、売掛債権はファクタリング会社に譲渡されていますので、貸し倒れリスクはファクタリング会社が負うことになります。

貸し倒れリスクについて、ファクタリングを利用した会社に求める償還請求権を付すと実質的に貸し付けにあたると判断されるため、違法となる可能性があります。

昨今問題になっている給与ファクタリングとの違い

ファクタリングの新たな手法として「給与ファクタリング」があります。

給与ファクタリングとは違法な取引となっているケースも多く問題となっています。給与ファクタリングについて詳しくみていきましょう。


(1)給与ファクタリングとは?

給与ファクタリングとは給料を前借りするサービスです。

給与ファクタリングとは給与債権をファクタリング会社に売却することによって行われます。給料を直接ファクタリング会社が回収できないため、ファクタリングを利用する個人とファクタリング会社の2者間ファクタリングです。

ファクタリングを利用する人は手数料を支払うことで給料日の前でも現金を手にすることが可能となりますので、実質的に給料を前借りできるというメリットがあります。


(2)法人ファクタリングと給与ファクタリングの違い

法人ファクタリングと給与ファクタリングは、性質としては似ているものの大きな違いがあります。

その理由として、給与は労働基準法で、本人以外に支払うことができないとされている点です。

法人ファクタリングでは売掛金を譲渡することで、ファクタリング業者が直接売掛金を回収が可能です。

しかし、給与ファクタリングの場合、ファクタリング業者が給与を直接請求できません。直接債務者に請求できないという性質上、債権が譲渡された売買とはみなされないため、給与ファクタリングは貸し付けとみなされます。

金融庁も給与ファクタリングは実質的に貸し付けであるとみなしており、給与ファクタリングの法的な位置づけは貸し付けとして考えた方がよいでしょう。

参考:https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/02b.pdf


(3)給与ファクタリングの違法性と注意点

給与ファクタリングは貸し付けとみなされているため、利息制限法の上限を超える金利を設定した場合、違法となり、違法となったファクタリング契約は無効となります。

利息制限法では借入額が10万円未満の場合、年20%。10万円から100万円未満の場合には年18%となっています。

多くの給与ファクタリング業者が、上限金利を超える手数料を設定しているため、注意が必要です。

違法となる給与ファクタリングを行った給与ファクタリング業者には罰金などの刑事罰が与えられ、上限金利を超過した分の利息については請求できます。

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まとめ

ファクタリングの法的根拠や違法となるケースについて解説しました。

通常行うファクタリングにはしっかりとした法的な根拠があり、ファクタリング自体が違法となるわけではありません。

ファクタリングは今後も早期に資金調達ができる方法として、利用が拡大されることが予想されます。

しかし、実質的に貸し付けとなっているケースもあるため、注意が必要です。違法なファクタリング取引を行わないために、ファクタリングの法的根拠を学んでおいた方がよいでしょう。

また、近年違法なケースが多く問題となっているのが給与ファクタリングです。給与ファクタリングは実質的に貸し付けとなるといわれており、利息制限法を超える利息を設定した場合、違法となります。

給与ファクタリングは違法となるケースも多いため、より注意が必要です。

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