基礎知識

医療(診療)報酬ファクタリングとは?医療報酬債権を現金化する方法

医療(診療)報酬ファクタリングとは



病院などの医療事業の経営にはお金がかかるものです。

機材の調達、従業員への支払いなど、様々な費用が必要となり、支払いの期限に追われることも多いでしょう。そのため、短期的な資金繰りに悩む経営者も多いはずです。

近年、医療事業の新しい資金調達の手法として医療(診療)報酬ファクタリングという手段が注目されています。医療(診療)報酬ファクタリングとはどのような方法なのでしょうか。

メリットやデメリット。伝統的な資金調達方法である銀行融資との違いを解説します。

ファクタリングの利用が初めてで用語や仕組みがわからない方は、まずは以下の記事からご覧ください。
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ファクタリングを初めて利用する方へ

医療(診療)報酬ファクタリングとは

医療(診療)報酬ファクタリングとは、医療(診療)報酬債権をファクタリング業者に売却して資金を調達する手段です。

例えば、医科や歯科などの診療報酬は通常診療から2か月ほど現金化するまでに時間がかかってします。

医療(診療)報酬は社会保険支払い基金などに請求する債権です。

請求の相手側は「国」であるため、お金を払ってもらえないということはありえません。しかし、資金の回収までに時間がかかってしまうため、その間の資金繰りに困ってしまうこともあるでしょう。

そこで、医療(診療)報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうという方法があります。

つまり、医療(診療)報酬ファクタリングとは医療(診療)報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、本来の支払い期限を待たずに早期に現金化する仕組みだと考えてください。

医療(診療)報酬ファクタリングのメリット

次に医療(診療)報酬ファクタリングのメリットについて確認していきましょう。

(1)早期に資金調達できる手段として使える

ファクタリングの最大の目的は早期の資金化です。

医療(診療)報酬は国に対する債権なので、確実に資金調達できます。債権が回収できないということは、ほぼないでしょう。

しかし、現金化するまでには2か月程度かかってしまいます。

そこで、医療(診療)報酬ファクタリング活用することで、すぐに現金化できます。従業員への給料支払いや備品購入など資金繰りに苦しい際は、医療(診療)報酬ファクタリングを活用するとキャッシュフローをよくできます。

(2)資金調達できる可能性が高い

ファクタリングで資金調達をするためには審査が必要です。

売掛先の信用力が低い場合は審査が通らずにファクタリングができない場合や、できたとしても売掛債権額よりもかなり低い金額しか調達できない場合もあります。

その点、医療(診療)報酬ファクタリングは売掛先が国であり、貸し倒れリスクがほとんどないため、資金調達できる可能性が高いと言えるでしょう。

利用しようと思えば確実にファクタリングができるという点は、医療(診療)報酬ファクタリングのメリットです。

医療(診療)報酬ファクタリングのデメリット

早期に資金調達ができるため、メリットも大きい医療(診療)報酬ファクタリングですが、デメリットもあります。

デメリットについて確認していきましょう。

(1)審査の手間がかかる

医療(診療)ファクタリングで現金を調達するためには、依頼するファクタリング会社を決めて審査を受ける必要があります。

審査を通過するためには、様々な書類を集めてファクタリング会社に提出する必要があります。

書類を揃えるなど、手間が増えるということは、従業員の仕事が増えることになってしまい、忙しい医療従事者にとって大きなデメリットとなります。残業代が増えてしまうことで、間接的に費用が増えてしまうことも念頭に置いておく必要があります。

(2)手数料がかかる

医療(診療)報酬ファクタリングは診療報酬債権を基に資金調達をすることになりますが、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があります。

そのため、診療報酬満額を得られるわけではありません。早期に資金調達できる分、得られる金額は少なくなってしまうと言う点は医療(診療)報酬ファクタリングを利用する際のデメリットとなります。

ただし、医療(診療)報酬債権は貸し倒れリスクが少ないため、一般的なファクタリングよりも手数料は安く設定されています。ファクタリング会社によって手数料が異なりますので、費用が安いファクタリング会社と契約をすることが重要です。

医療(診療)報酬ファクタリングを利用して現金化する方法

医療(診療)報酬ファクタリングを利用して現金化するにはどのような手続きを行えばよいのでしょうか。具体的な方法を確認しておきましょう。

まずはファクタリング会社を選択する必要があります。

ファクタリング会社を選択する一つの指標となるのが、手数料です。手数料が高い場合、回収できる金額が少なくなってしまうので、手数料の確認はとても重要です。

次に、現金化するまでにどれくらい時間がかかるかを確認しましょう。医療(診療)報酬ファクタリングはほとんどの場合、給与の支払いや医療器具の購入などの目的をもって利用することとなるでしょう。

資金が必要なタイミングで現金化できないとファクタリングを利用する意味がありませんので、いつ現金化できるかは必ず確認しておく必要があります。

医療(診療)報酬ファクタリングを利用する会社を決定したら、ファクタリング会社に申し込みを行い、審査を受ける必要があります。

審査を受けるためには、書類を集めて提出が必要です。必要な書類は以下のようなものがあります。

必要書類
  1. 履歴事項全部証明書
  2. 診療報酬請求書
  3. 診療報酬の支払決定額通知書
  4. 診療報酬が記帳されている通帳のコピー
  5. 医療機関の許認可証の写し

上記の書類は一例です。

ファクタリング会社によっては他の書類が必要となる場合もありますので、申込の際は必要書類を確認するようにしましょう。

医療(診療)報酬ファクタリングは債権の請求となるため、比較的審査は通りやすく、審査については問題なく通過できる可能性が高いと考えてよいでしょう。

ただし、審査にかかる期間はファクタリング業者によって異なりますので、どれくらいで審査が下りるのか確認しておきましょう。

無事審査を通過すると医療事業者はファクタリング業者に診療報酬の債権を譲渡する契約を行います。診療報酬を譲渡する代わりに、ファクタリング業者から金額が支払われます。

また、債権を譲渡したことを債務者である社会保険支払い基金に通知しておくことが必要です。通常、債権が譲渡されたことは医療事業者とファクタリング業者の連名で行います。

譲渡後の診療報酬債権はファクタリング業者に権利が移っていますので、診療報酬債権を基に社会保険支払い基金からはファクタリング業者に診療報酬が支払われることになります。

このように医療(診療)報酬ファクタリングは医療事業者がファクタリング会社に債権を譲渡することで、早期に現金を手に入れることができる仕組みとなっています。

医療(診療)報酬は確実に現金化できるため、当面の資金を確保するためには非常に有効な手段であると言えるでしょう。

銀行融資との違い

伝統的な資金調達手段としては銀行融資があります。

銀行融資とファクタリングにはどのような違いがあるのか確認しておきましょう。

銀行の融資はファクタリングに比べるとかなり時間かかかります。

時間がかかる遺留は銀行の融資はファクタリングのように今目の前にある債権の審査ではなく、医療事業全体の経営状況や財務状況を審査されます。銀行の審査では「医療事業が今後もうまく経営できるか」ということが重視されるのです。

もう一つ重視されるのは不動産などの「担保」です。

医療事業の経営が万が一上手く行かなくなった場合でも不動産などの担保を売却することで、融資資金を回収できるのであれば、銀行としては問題ありませんので、担保も審査の基準として重要になってきます。

銀行は貸したお金が回収できるかを精査するために、時間をかけて審査を行い、無事審査を通過すれば融資します。

そのため、ファクタリングに比べると銀行融資は時間がかかるというデメリットがある代わりに、審査に通れば多額の資金を調達できます。多額の資金を調達できる理由は、通常銀行融資は不動産などを担保に取り資金を融資するからです。

銀行融資の場合、ファクタリングのように既に医療(診療)報酬)が確定しており、将来資金化できることが確実な資金以上に借りることができます。

いわば将来得られる収益の分までお金を借りられるということになりますので、多額の資金を借りることができるのです。

一方、医療(診療)報酬ファクタリングではすぐに資金が調達できる代わりに、多額の資金は調達することはできません。医療(診療)報酬ファクタリングは既に診療報酬債権を保有している金額以上に現金化することはできないのです。

一般的に、高額な医療機器や建物の建設費用を調達するためには、ファクタリングで現金化するだけでは賄えないことが多いため、銀行融資が必要となるケースが多いといえるでしょう。

一方、ファクタリングは従業員の給料の支払いなど、すぐに資金調達が必要な場合に活用できます。

銀行融資と医療(診療)報酬ファクタリングはそれぞれのメリットとデメリットを理解し、使い分けることが大切です。

まとめ

医療(診療)報酬ファクタリングについて解説しました。

医療(診療)報酬ファクタリングは、現金を早期に調達できるという点が最大のメリットです。

資金調達までに時間がかかる医療(診療)報酬は請求相手が国であるため、確実に現金を回収できる一方で、回収までに通常2か月程度かかります。

医療(診療)報酬ファクタリングでは、一般事業者のファクタリングに比べて審査が通りやすく、手数料も比較的安いため、資金繰りに困った場合には有効な手段といえるでしょう。

一方で、銀行融資とはそれぞれの違いを理解し使い分ける必要があります。銀行の融資は大きな資金を借りることができる代わりに審査が厳しく資金調達までに時間がかかります。

それぞれの違いを理解し、使い分けることが重要です。

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